100辞書・辞典一括検索

JLogos

11

金鑽神社
【かなさなじんじゃ】


児玉郡神川(かみかわ)町二の宮に鎮座。祭神,天照大神・素盞嗚(すさのお)尊,配祀日本武尊。旧官幣中社。景行天皇の41年,日本武尊が東征凱旋の時,おばの倭姫(やまとひめ)命から賜った火打石を御霊代(みたましろ)として当地室ケ嶽に鎮座し,天照大神・素盞嗚尊を祀ったのが創立といわれている。この神社は神籬造(ひもろぎづくり)で,常磐木が繁茂した御室ケ嶽3町歩を神奈備として崇拝している。したがって本殿はなく拝殿だけであり,旧官幣社の中では,信濃の諏訪神社,大和の大神(おおみわ)神社とこの金鑽神社の3社だけの珍しいものである。その後欽明天皇の時日本武尊を合祀した。貞観4年当社は官社に列せられ,神階従五位下に叙せられた。「延喜式神名帳」に載っている旧児玉郡一座(大社)金佐奈神社は当社と伝えられる。天文3年土地の豪族阿保弾正金隆が寄進した多宝塔は国の重要文化財。室町期,火災のため社殿焼失,寛永6年社殿改築,天保5年再び野火のため社殿焼失した。江戸期に至り幕府から朱印30石の寄進があった。付近の村々の水利の守護神として信仰され,九郷用水の八幡山など旧33か国の総鎮守であった。明治36年伊東忠太博士の設計で白木造りの拝殿に改築した。「カナサナ」というのは金砂の義であり,製鉄にちなむ地名とされている。金屋という古くから鋳物師の集団が居住した集落の存在することからみても,金鑽神社は鉄鉱石採掘・製鉄集団に関係しているものと推測される。祭神金山彦神は製鉄に従う人々によって祀られた。また金鑽とは火打金を意味し,当社の起源の日本武尊の話に結びつく。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7048484