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三峰神社
【みつみねじんじゃ】


秩父(ちちぶ)郡大滝村三峰に鎮座。祭神,伊弉諾命・伊弉冉命。社伝によると,日本武尊東征の途中,雁(かり)坂の峠路で道に迷い難渋していると,1匹の白いオオカミが現れて尊を導き,今の三峰神社付近まで来ると急に姿を消したので,これは神の導きによるものと,当山に登って仮営し,伊弉諾・伊弉冉の2神を勧請したという。その翌年,尊の父の景行天皇は尊の戦跡をたずねてこの山に登り,雲取・白岩・妙法3山の美しい景観をご覧になって「三峰宮」の称号を授けたといわれる。奥秩父の山塊は早くから山岳信仰の対象となったであろうし,また荒川の水源にあたるため,農業神としても信仰されたと思われる。平安期以降にはその民俗信仰から発展して山伏の霊場となり,天台・真言・修験の3宗が行われ,修験道の行場になった。建久年間畠山重忠が祈願成就により,方10里の地を守護不入の地とした。天文2年に道士道満が堂宇を再建したが,道満は天台派の修験者ではないかといわれ,その後継者竜栄の代に天台修験聖護院派に属したと考えられている。当社の御眷属としてしられるオオカミが,大口真神(おおぐちのまがみ)として崇められはじめたのもこの頃と思われ,以来火難・盗難除けとして信仰を集め,登拝が盛んになった。聖護院宮から大権現の号を賜り,坊門第1の霊山同派天台修験の本山として,本堂を観音院高雲寺と号した。明治維新の神仏分離令により,社号を三峰大明神と改めた。本殿および同社所蔵の日鑑は県文化財。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7052013