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椋神社
【むくじんじゃ】


秩父(ちちぶ)郡吉田町下吉田に鎮座。祭神,猿田彦大神ほか4柱。日本武尊東征のとき矛を杖にして山路を越え,この吉田町の赤柴まで来ると,矛が光を放って飛んで行った。尊は不思議に思って光が止まった所まで行ってみると,井の辺のムクの木陰から老翁が現れ,自分は猿田彦で,道案内をしてさしあげるといって尊を導いた。尊はその奇瑞に感じて,持っていた矛を神体として猿田彦命を祀った。それで井椋(いむく)社とよぶようになったという。これが当社の起源で,矛が光を放ったところを光明塚といい,これが赤柴の名の起こりだという。のち和銅3年阿志多宿禰が奉仕して社殿を造営した。貞観13年従五位下の神位を贈られ,「延喜式神名帳」に載せられた社が当社と伝えられる。以後位階が進み,従二位までなった。元亀年間兵火で社殿が焼失したので,天正3年鉢形(はちがた)城主北条氏邦が社殿を再建した。毎年10月5日に奉納される竜勢とよぶロケット式花火は,戦国期ののろしの名残だともいわれ,珍しいものである。また明治17年,秩父事件の蜂起した農民の集合地となった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7052234