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下立松原神社
【しもたちまつばらじんじゃ】


白浜町滝口にある神社。祭神は天日鷲命。滝口明神・小鷹明神ともいう。社伝によれば,天由布津主命が,忌部氏の祖天富命とともにこの地に至り,祖神である天日鷲命を祀ったという。社蔵の「安房忌部家系」(安房国神社志料/房総叢書)に,天日鷲命の託宣によって,天由布津主命が神殿を構えたといい,神山の松が大いに茂ったので「松原神社」と称するようになったともいう。近くの牧田村にも同名の神社があって,「延喜式」神名帳朝夷郡条の下立松原神社がどちらであるかは決定し難い。「義経記」では,源頼朝が「安房国洲の崎」に上陸し,「その夜は滝口の大明神に通夜ありて,夜と共に祈誓をぞ申されける」ところ,明神が「源は同じ流れぞ石清水たれ堰きあげよ雲の上まで」との神詠を示したとある。この滝口の大明神は,地名から当社のことともいわれている。慶長15年の「里見家分限帳」に,滝口村のうち「拾石 明神領。拾壱石 明神領足大神宮村」とある(続群25上)。「房総志料」に「滝口明神は,安房国滝口村に建つ。或は小高明神ともいふ。社領七石」と見える。明治初期村社に列した。所蔵の厨子には「文保二年二月⊏⊐ 左衛門尉長利」の墨書銘がある(県史料金石1)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7054993