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洲宮神社
【すのみやじんじゃ】


館山市洲宮にある神社。祭神は天比理乃咩命。社伝によれば,神武天皇元年に創祀されたといわれ,魚尾山上にある。当社は市内洲崎にある洲崎神社と同神一体で,当社は奥宮,洲崎神社は拝所とされる。祭神天比理乃咩命は,安房忌部氏の祖神天太玉命の后神。「延喜式」神名帳安房郡条に見える「后神天比理乃咩命神社〈大,元名洲神〉」は,現在のところ洲崎の洲崎神社を指すとされている。社蔵の「斎部宿禰本系帳」によれば(安房国神社志料),当社は天富命娘飯長姫命と天日鷲命子孫由布津主命とが創祀し,以後子孫代々奉仕してきたとある。その後,養老4年に勝崎浦に仮宮を造って洲崎社と称し,栄麿がその祝部となったが,やがて栄麿は役小角に従って修験僧となったともある。これらの説はにわかには信じがたく,近世頃当社の社僧吉祥院が修験に属していたことから起こったものであろう。文永10年に託宣によって社頭を魚尾山の嶺に移したとあり,当社の創建もおそらくこの時に始まるのであろう。文安3年に社殿は大破したが,一郡の農民に造営せしめた(斎部宿禰本系帳)。また明応8年6月の大地震で再び社殿は大破したが,里見義成が文亀3年に造営し,安房神社とともに里見氏代々の祈願所としたという(同前)。以後里見氏の庇護を得,社殿造営,社領寄進も相継いだ(同前)。元和2年9月15日付中村吉繁書状に,徳川氏が洲宮村内の3石,洲崎村内の4石を社領寄進したと見える(洲宮神社文書/安房国神社志料)。明治6年に県社に列する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7055240