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手力雄神社
【たぢからおじんじゃ】


館山市大井にある神社。祭神は天手力雄命。社伝によれば養老2年の創祀といわれる。承久2年6月8日に九条頼経が社殿を造営したと伝える。鎌倉期作の銅造千手観音像(県文化財),中国元代の繍字法華経普門品(県文化財)が所蔵されている。棟札3枚が残されており,大永4年・天正12年・宝永6年の年号を持つ。天正12年12月付棟札には,「日域安房州大井大明神社,今月今日改旧,爰当国大相国源義頼公房両総之為大守,仰御奉行等令修理畢」とあり,里見義頼が奉行となって大井大明神を修理している。大井大明神が当社であることは,同棟札に「手力雄添力 神明威益々明」とあることでも知られる(県史料金石1)。現在の本殿は元禄16年の大地震で破損したのを宝永年間に修理したものだが,各所に桃山期の特色が見られる(県文化財)。慶長15年の「里見家分限帳」山下郡大井村条に「四拾三石三斗三升 明神領」と見える明神は当社であろう。「安房国神社志料」所収の「御朱印寺社領帳」には「高四拾三石三斗〈安房郡大井村〉手力雄大明神〈神主〉黒川若狭」とあり,江戸期の朱印領も里見氏の時と同高であった。別当寺は真言宗の円行寺であった(安房国神社志料)。昭和19年に郷社に列した。境内にある大スギは市天然記念物。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7055542