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麻賀多神社
【まかたじんじゃ】


成田市台方にある神社。祭神は稚産霊命。かつては麻賀多明神と称した。社伝によれば,応神天皇の時に印旛国造伊都許利命が稚産霊命をかつての公津台方村の稷山に祀って麻賀多神社と称し,稚日女尊を船方村手黒の地に祀り瀛津宮と称したという。稷山の社には印波国造社・幸霊社・馬来田郎女社・猿田社・天日津久社の5摂社があり,また瀛津宮には賀志波比売社・阿須波社・八代稲荷社の3摂社があったという。さらに八代・神津両郷を神領としたとも伝える。瀛津宮付近には印旛国造祖の伊都許利命の墓と伝える塚が残り(市史跡),また印旛国造はこの一帯を本貫地としていたと考えられることから,稷山の社と瀛津宮は印旛国造の氏神として祀られたものとも考えられる。「延喜式」神名帳印旛郡条の「麻賀多神社」は稷山の社のことと考えられる。のちに当地の領主である千葉氏・佐倉藩主の崇敬を受け,村人は農耕の神として尊崇したという。祠官を太田出雲といい,かつては祭田が7区あって7家の祠官が分領したという(下総式社考/房総叢書)。7区とは油免・薦布免・穂掛免・団子免・神酒免・御斎免・巫免を指す。天正年間に神領が没収され,そのため神主は没落し,寺院の管理になった(印旛郡誌)。別当寺は船形山薬師寺(成田市船形)。明治5年郷社に列格。産業・長寿などの守護神として崇敬されている。例祭は7月31日で,神楽獅子舞が行われる(市無形文化財)。また1月15日には筒粥神事がある。文化財としては元禄10年建築の本殿(市文化財),神域(県天然記念物)などがある。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7057101