麻布領
【あざぶりょう】

旧国名:武蔵
(近世)「新編武蔵」に見える豊島郡・荏原(えばら)郡の領名。領域は東京湾に面した現在の港区を中心として渋谷区・品川区の一部を含み,「新編武蔵」では豊島郡16か村,荏原郡5か村の合計21か村が記されている。領名の由来は「新編武蔵」は「今御府内に属せる麻布の地より起りしなるべし」と記している。麻布領の本村は豊島郡麻布村であり,領内の村の多くは豊島郡に属している。麻布の名は「役帳」に見え,小田原北条氏の家臣,御馬廻衆の狩野大膳亮の所領として「五拾三貫弐百文 江戸 阿佐布」とある。天正5年6月13日の善福寺御房宛の顕如書状にも「阿佐布」の地名が見える(武文)。領名は郷名に由来するか。麻布領の村々は次のとおり。
〈豊島郡麻布領〉麻布町在方分,桜田町在方分,龍土町在方分,今井町在方分,飯倉町在方分,芝金杉【しばかなすぎ】町在方分,本芝【もとしば】町在方分,上渋谷村,中渋谷村,下渋谷村,渋谷宮益【みやます】町在方分,上豊沢村,中豊沢村,下豊沢村,穏田【おんでん】村,原宿村。
〈荏原郡麻布領〉白金【しろかね】村,今里村,上高輪【かみたかなわ】町在方分,下高輪村,三田【みた】村。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7058297 |