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一之宮社
【いちのみやしゃ】


横浜市神奈川区入江1丁目にある神社。旧村社。祭神は素盞嗚尊。宇迦魂命・事代主命・瀬織津姫命などを配祀。子安一宮明神社(新編武蔵)と呼ばれ,現在は一之宮さんが通称。社伝によれば,永禄4年9月1日に武蔵国一之宮氷川大明神(埼玉県大宮市)の分霊を勧請したという。当社には白髭老神の伝説がある。元禄3年に村内に疫病が蔓延すると入江川畔に白衣長髭の翁が現れ,吾は一之宮大明神だが,最近村民が祭祀を怠っているために災禍が横行するのである。以後祭祀の礼を篤くすれば疫癘はなくなると告げた。村民が神楽を奏し,神拝の式を行うとたちまち疫病がなくなったという。また宝暦3年には旱魃で五穀枯萎した時,村民が社前に会し祈雨の祭を行うと,雨が降ったので,目代出羽守荷田信舎・権目代伯耆守荷田信之に請願して神輿を新調して納めたと伝える。文久2年3月に社殿を再建。往時は別当遍照院(高野山真言宗)があり,社家萩原氏が奉仕していたという。遍照院は明治元年に焼失し,別当職は廃された。当社は同30年12月に焼失し,同34年3月に再建。かつては付近の3村を氏子域としていたが(新編武蔵),明治41年に近傍の小社を合祀したために氏子域が広がり,毎年8月には氏子域31か町による奉納野球大会が行われる。現社殿は昭和37年の再建。子安神(安産神)として古くから信仰されているが,当地がかつて子安村に属していたことに由来するものかもしれない。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7065737