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稲毛神社
【いなげじんじゃ】


川崎市川崎区宮本町にある神社。旧郷社。祭神は武甕槌神。経津主神・菊理媛神・伊弉諾神・伊弉冉神を配祀。山王さまが通称。社伝によれば,景行天皇は東国巡幸の際に当地に賊難を避けた。その由緒により欽明天皇は東征の際に当地に4柱の神を祀り,社領を寄進し勅願所としたという。この4座の祭神は未詳。ただし「新編武蔵」には,古来当社は武甕槌神社と呼ばれており当初の祭神は武甕槌神であったかもしれないとある。以後長く勅願所となったという。中世期には山王権現社と称し,源頼朝の命により佐々木高綱が社殿を造営し,社領を寄進したと伝える。室町期には神主が新田氏と縁故があったために社領20石に減じられたという。慶長4年2月22日に徳川家康から稲毛荘河崎郷内に朱印地20石を賜り,近世期にも同額を有していた(記略・寛文朱印留)。「新編武蔵」は,天正20年に山王領として22石余あったとする。近世期には堀之内村の鎮守で,元禄8年には宮内左衛門敦信が社殿を修理している(新編武蔵)。神主家は鈴木家で,紀州熊野の出身という(同前)。別当は天台宗宝寿院で,臨海山久遠寺と称し武州駒林金蔵寺末(本末帳集成)。明治維新で別当を分離,有栖川宮により橘樹(たちばな)郡稲毛荘の荘名をとって稲毛神社と改称され,郷社に列格。昭和20年に社殿が焼失したが,同38年に再建。かつては正月3日(例祭)に流鏑馬が行われ,6月15日には神輿渡御,12月27日には境内に市が立った(新編武蔵)。近世期には例祭が東の祇園と称され付近の名物であったという。現在は8月2日が例祭日。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7065762