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宇都母知神社
【うつもちじんじゃ】


藤沢市打戻にある神社。延喜式内社。旧郷社。祭神は天照大御神・稚産霊神・若日下部命。創祀年代は未詳。社伝によれば,天慶2年9月に雄略天皇の皇后若日下部命の尊霊を大和国泊瀬から遷座して相殿に祀ったという。「新編相模」も祭神は雄略天皇の皇后とし,祭神の形態は板に描いた立像で,手に鉾と日の丸の扇とをもっていた。江戸期になって天照大御神が合祀されたともいわれる(県史通1)。祭神に関しては一定をみないが,この地が養蚕を生業としていることから,養蚕に関係深い神である若日下部命と稚産霊神とが祭神になっているのであろう(同前)。2神が祭神となったとき,すでにこの地は養蚕が盛んであったことになるが,社伝にいう天慶2年当時にそのような事実があったかどうかについては,自然環境・地理的条件からみて疑問もある(藤沢市史4)。当社は泉の湧きでる神明谷の右岸に位置しており,もともとはここで稲作農業をはじめた人々に奉祀されたのがはじまりで(同前),当地に養蚕が普及するにつれそれに関連した神が祭神になっていったとするのが妥当であろう。天照大御神を祭神とするのは,「新編相模」に当社の別称を「今或は神明宮とも云」と記すように,江戸期に盛んであった伊勢信仰の摂取を物語っている。寛永4年11月,領主高木主水源正次が本殿を改造し,社地900坪を寄進した。近世には打戻村の鎮守,別当は当山修験の金剛院があった(新編相模)。明治6年に郷社に列格。大正12年関東大震災で社殿は全壊したが,同15年再建。例祭日は9月13日。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7065869