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海蔵寺
【かいぞうじ】


小田原市早川にある寺。曹洞宗。山号は宝珠山。本尊は釈迦如来。寺伝によれば,安叟宗楞が応永21年真言宗寺院の廃寺跡に開創とするが,嘉吉元年(新編相模),享禄元年(日本洞上聯灯録/仏教全書111)など諸説がある。宗楞は大森氏2代頼春の子で,関本の最乗寺(南足柄市)の舂屋(そうく)宗能の弟子。政治・学問にすぐれ,同族の大森氏4代氏頼をたすけ,最乗寺10世として入寺。宗楞には,10人の法嗣がおり,門派寺院数500余を数える安叟派の基礎を固めている(相文/県史資3下‐6366)。天文2年北条氏綱は「草花竹木切取」の禁制を出し,永禄13年には氏康の禁制が出され保護を受けており(同前6651・7960)。天正年間には,北条氏の帰依を得て関八州の僧録所となったと伝える。天正17年12月,秀吉の小田原出陣の時,その陣所とされ,制札が出されている(同前9545)。のちに,堀秀政,戸沢盛安の両人が中興開基となる(新編相模)。江戸期には,天和2年,藩主稲葉美濃守正則より寺領14石1斗余が安堵され(相文1),稲葉氏の外護で寺基を再興。安叟派の中心寺院として,下総国国府台総寧寺末で直末寺36か寺をもつ(延享度曹洞宗寺院本末牒)。40世月潭全竜門下から森田・棋上・西有の3禅師等が出るなど宗風が上がり,関左禅林と呼ばれた。境内には,堀秀政の墓石とされる宝篋印塔がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7066290