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片瀬カトリック教会
【かたせかとりっくきょうかい】


藤沢市片瀬海岸2丁目にある教会。片瀬の名家山本庄太郎家は,明治24年頃より暁星中学校長ヘンリック神父をはじめ,10名余のマリア会修道士らに夏場の別荘を貸した。庄太郎の子信次郎は,これら修道士らの教導で同中学校に入学,明治26年9月に受洗した。信次郎はのち海軍中将となり,ローマ教皇に謁見するなど日本カトリック教界の柱石として名をはせる。昭和2年8月初め,ローマ教皇使節ジャルディニ大司教が信次郎の招待で片瀬東浜の山本別邸を訪れ,ミサ聖祭を捧げ片瀬教会建設を話題にした。片瀬の山本ミツ宅(信次郎母堂)のミサ聖祭は,それ以来江ノ島電鉄開通による避暑客増大ともあいまち,避暑に来たカトリック信者の参加でにぎわった。このにぎわいは夏場だけで,それ以外は山本一族と片瀬町議の赤羽根万吉らの家族12~13人であった。教会の設立は,昭和11年7月山本信次郎別邸が聖パウロ修道女会の修院となったことなどもあり,同12年1月26日にリサラグ神父を主任司祭に,赤羽根万吉を信徒総代に選出し,翌13年6月20日に許可された。聖堂は純日本風の建物で,正面と左右の壁画を鵠沼在住の長谷川路可筆の日本画による十字架道行でかざった。献堂式は昭和14年3月19日,最初の信者は10数名であった。教会は昭和11年9月に山本信次郎の後援で,聖パウロ修道女会が創設した乃木学園に始まる湘南白百合学園などのカトリック系教育を中心とする修道会の活動と結びつき教勢を躍進させた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7066341