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橘樹神社
【たちばなじんじゃ】


川崎市高津区子母口にある神社。旧村社。祭神は倭建命・弟橘比売命。近世には立花社(新編武蔵)・橘明神社(江戸名所図会)と呼ばれた。倭建命が東征の際に,上総へ渡る海が荒れたため弟橘比売命が入水して海神を鎮め,倭建命は上総へ渡ることができた(日本書紀景行天皇40年条)。その後当地に弟橘比売命の着物・冠が漂着したので,廟を建て更にその後2神を祀る祠がたてられたという(社伝)。その廟はかつて当社の東方100mほどの丘の中腹にあり,茅の類が繁茂していたという。永徳4年2月26日には神田2反を寄せられたと伝える。倭建命の神体は束帯姿で剣を持ち,はち巻きをし,弟橘比売命の神体は装束姿で冠をかぶり,両手に鏡を持っていたという。橘樹郡の郡名は当社名にちなむといい(以上新編武蔵),橘樹郡の総社として多くの崇敬を集めた。社殿は元禄元年に再建され,さらに嘉永4年には郡中124か村の寄進により再建したという。別当は浄土宗蓮乗院で,長唱山実相寺と号し薬師を本尊としていた(新編武蔵)。明治期に村社に列し,昭和42年社殿改修。当地の人が他出する際,当社に参詣しないと道中に災があるとおそれられたと伝える(江戸名所図会)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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