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比々多神社
【ひびたじんじゃ】


伊勢原市三ノ宮にある神社。延喜式内社。相模国三の宮。旧郷社。祭神は豊斟野尊・稚日女命・天櫛明玉命・日本武尊。大酒解神と小酒解神を相殿に祀る。通称は三の宮さま。創祀は神武天皇6年と伝える。また天平年間ともいう(記略)。崇神天皇7年に神地および神戸の寄進をうけ,のちに相模国司布施朝臣色布智が社殿を修復,狛犬一対を奉納したと伝える。さらに天長9年,淳和天皇が国司橘朝臣峯継に詔して,相模国総社冠大明神の神号を奉ったと伝える。「延喜式」神名帳大住(おおすみ)郡条には「比比多神社」と見える。中世に入っても三の宮として武家から篤く崇拝され,元暦元年には源頼朝が社殿を再建,続いて文治元年には国土泰平の御願書を奉納したと伝える。「吾妻鏡」建久3年8月9日条には「三宮冠大明神」とみえ,北条政子の安産祈願のため神馬の奉納をうけ神前読経を行っている。その後,明応の頃に数度兵火にかかり,神領を失い社人・社僧も離散して一時は著しく衰微した(新編相模)。天正19年11月徳川家康から白根郷の内に朱印社領10石が与えられ,近世も継続した(記略・寛文朱印留)。近世には,三宮明神社として近隣の崇敬が篤く,三之宮・栗原・神戸・白根の4村の鎮守であった(新編相模)。例祭は10万石の格式を与えられたといわれ,これをとりしきる神職は伊勢津彦命の後裔で古くは代々この地の国造兼神主であったと伝える。社宝のうずらみか(県重文)は大化元年に酒解神を合祀したとき納められたものといわれ,狛犬は国司布施朝臣色布智が社殿を修復した際に奉納したものという。明治6年郷社に列格。例祭日は4月22日。5月5日の国府祭に参加する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7068730