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富士箱根伊豆国立公園
【ふじはこねいずこくりつこうえん】


本県のほか静岡・山梨・東京の都合1都3県にまたがる国立公園。公園指定は昭和11年2月1日富士箱根地区,同30年3月15日伊豆半島地区,同39年7月7日伊豆七島地区を逐次指定。指定面積は総面積12万3,161ha,うち本県域1万511ha。当園のうち箱根区域は富士山の東南東約30kmに位置する箱根火山のカルデラ内を中心に設定されたもので,カルデラ稜線の外側の一部を包含している。当園の特性は,富士火山帯に属する標式的な三重式火山で構成された火山地形にあり,塔ノ峰・明星ケ岳・明神ケ岳・丸岳・三国山・大観山・白銀山など標高1,000m前後の山稜に囲まれた古期外輪山と,カルデラ内東部の浅間山・鷹巣山などの新期外輪山と,中央部に北西~南東の線上に配列する神山(1,438m)・二子山などの中央火口群とからなる。古期外輪山上の金時山(1,213m)は箱根火山の山腹に生じた側火山であり,芦ノ湖は火山活動の末期に中央火口丘の一部の爆発によりせき止められた火口原湖である。古期外輪山と新期外輪山の間を流れる早川および須雲川は山腹の開析が著しく,特に宮ノ下~塔之澤間ではすぐれた渓谷美をみせる。標高800m以上の地域のうち神山・台ケ岳を中心とする地域,外輪山内壁のうち三国山・金時山周辺ではヤマボウシ・ブナ・ミズナラ等を主とする自然林が広範囲に残る。このほか駒ケ岳一帯,外輪山の一部等ではハコネダケの草原が発達し,当園の景観を特色づける。また,二子山などではハコネコメツツジ・ハコネバラ等,富士火山帯に固有の植物もみられる。そのほか,鳥類として台ケ岳を中心にビンズイ等深山性のものを含めて200種以上が生息する。人文景観としては東西交通の要路として官道が開かれ,鎌倉期の旧東海道沿いの精進ケ池畔では石仏群が見られ,江戸期の旧東海道沿いでは関所跡・杉並木・石畳等が残されている。交通機関や宿泊施設のほか,美術館・自然博物館・歴史博物館なども整備され,有数の観光施設を誇る。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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