角川日本地名大辞典 中部地方 新潟県 36 国道【こくどう】 国道7号 新潟市本町を起点とし青森県青森市に至る一般国道。総延長482.6km。県内延長111.3km。東北地方の日本海側の主要都市を結ぶ主要幹線道路。昭和27年一般国道に昇格。明治6年の新潟県内道路区分の第1等道路線・北陸道線。新潟から羽後街道に相当する。新潟市から旧新発田(しばた)街道沿いに新発田市に出て,新潟バイパスで加治川を渡り,北蒲原郡中条町―岩船郡荒川町―村上市と北上し,同郡山北(さんぽく)町の府屋に出,鼠ケ関を越えて山形県に入る。昭和42年難路の同郡朝日村の蒲萄峠付近を蒲萄トンネル・朝日トンネル・大毎トンネルによって貫通したことで,日本海沿岸の地域開発や観光開発への役割は大きい。また,新潟~新発田間の交通渋滞の解消と,新潟東港および周辺の臨海工業地帯の開発基盤として新新バイパス(延長17.1km)を計画。昭和48年度着手,同57年12月競馬場~東港インターチェンジ間を暫定供用。 国道8号 新潟市を起点とし京都市に至る一般国道。総延長585.2km。県内延長199.1km。昭和27年1級国道に昇格。北日本と中部日本を結ぶ日本海側縦断のわが国有数の幹線。県内の経路は新潟市―三条市―長岡市,曽地峠を越えて柏崎市の海岸線を通り,上越市から親不知子不知を経て富山県境に至る。都市部ではバイパスによる交通網の整備が進み,新潟・長岡・直江津・糸魚川では各バイパスが供用を開始。新潟バイパス(延長11.1km)は新新バイパス起点の新潟市海老ケ瀬から,北陸自動車道の起点新潟黒埼インターチェンジに接続し,昭和53年度に供用開始。長岡市周辺の信濃川に架かる新長岡大橋を走る関原バイパス,国道17号に接続する長岡東バイパス,国道18号に接続する直江津バイパスがある。また中越から上越への米山三里の難所は,トンネルと高架橋で連絡し,米山大橋や上輪大橋,国道の展望台などの名所もある。本県と関西地方を結ぶ道路として沿線地域の経済や産業の発展に大きな役割を担う。 国道17号 東京都中央区を起点とし新潟市に至る一般国道。総延長415.2km。県内延長181.7km。本県と首都圏を結ぶ幹線国道。旧三国街道に当たり,昭和9年国道9号に認定,同27年1級国道17号として路線指定。群馬県から三国峠下の三国トンネルを抜けて本県に入り,南魚沼郡湯沢町からJR上越線に沿い,小千谷(おぢや)市を通過し,長岡市で国道8号に合流し,新潟市に至る。最大難所の三国峠付近は,同34年三国トンネルが完成し,群馬県新治村吹路から湯沢町浅貝までの13kmの改築工事により全線開通。二居・船ケ沢・萱沢・八木沢・芝原の各トンネルが同37年に開削。旧道はかつての三国三宿としての浅貝・二居・三俣にわずかに旧跡をとどめる。県境は上信越高原国立公園に当たり,スキー場・温泉などの観光地に恵まれ,また同60年の関越自動車道の全通とともに,交通量が増加している。 国道18号 群馬県高崎市を起点とし上越市に至る一般国道。総延長238.0km。県内延長48.5km。昭和27年一般国道に昇格。東京から上越市直江津までの本州中央部横断幹線道路の一部。高崎市から碓氷峠を越え,長野県小諸市―上田市・善光寺平に出,県境の中頸城(なかくびき)郡妙高高原町からJR信越本線にほぼ並行して,新井市―上越市高田を経て終点の直江津で国道8号に接続する。上越市街地の交通渋滞解消と豪雪対策が施された幹線道路として上新バイパス(中頸城郡中郷村市屋~上越市下源入間24.6km)が昭和52年に着工,部分的に供用開始。沿線は妙高高原・野尻湖などの上信越高原国立公園や善光寺平の温泉郷,小諸・軽井沢の避暑地などの観光地に恵まれる。長野市からは国道19号に接続して名古屋に通じる中部日本の幹線連絡道でもある。 国道49号 福島県いわき市を起点とし新潟市に至る一般国道。総延長239.4km。県内延長67.3km。昭和38年2級国道115号から1級国道に昇格。いわき市から郡山市~会津若松市を経て,西会津町から本県の東蒲原郡津川町に入り,阿賀野川に沿って同郡三川村―北蒲原郡安田町―同郡水原(すいばら)町―同郡京ケ瀬村を経て阿賀野川を渡り,中蒲原郡横越町から同郡亀田町に入り,亀田バイパスを通って新潟市に至る。新潟市~亀田町間は幅員が狭く,交通のネックになっていたので,亀田バイパス(全長8.8km)が昭和44年から着手され,同48年供用開始。当路線は阿賀野川が刻んだ急峻な谷を通り,JR磐越西線に並行する。津川町~安田町間は阿賀野川ラインと呼ばれ,ダム・峡谷・温泉など観光地で知られる。地滑りや積雪のため交通の途絶がしばしばであった。昭和49年東北自動車道が郡山インターチェンジに接続し,新潟都市圏や首都圏と会津若松・郡山・いわき各地方との交流も盛んになった。古くは会津藩と越後の唯一の交通路の会津街道に当たる。 国道113号 新潟市本町を起点とし福島県相馬市に至る一般国道。総延長237.0km。県内延長78.3km。昭和28年5月2級国道113号新潟山形線として昇格,同45年4月相馬市まで終点延伸。新潟市から国道7号と重複して北上し,岩船郡荒川町で国道7号と分岐し,同郡関川村を通り,山形県・宮城県を経て相馬市に至る。県境付近の山岳地は冬期には積雪のため通行止めになることも多く,貨物等は昭和30年代まで米坂線に依存していた。同42年8月の羽越水害で流水の被害を受け,のち荒川の改修とともに改良工事が進められ,同50年度に改築完成。将来の交通需要や交通安全を考えて関川バイパスが昭和52年度から着手,同55年度完了。関川村から山形県小国町にかけ磐梯朝日国立公園の一部を通り,荒川峡の景勝地と温泉地を控え,紅葉ラインとして観光面にも利用される。近世米沢藩が日本海側の地方との交流のために開削した米沢街道に当たる。 国道116号 柏崎市を起点とし新潟市本町に至る一般国道。総延長82.9km。昭和28年2級国道116号柏崎新潟線として昇格。冬期は国道8号よりも積雪が少なく,国道8号のバイパス的性格をもつ。新潟都市圏と柏崎以西との交通連絡路であるが,カーブが多く,幅員も狭いため,刈羽郡から三島(さんとう)郡を貫通する西山(昭和60年11月全通)・出雲崎・和島の3バイパスと4車線化の大河津橋の架替え工事(同54年度着工)を施行中。 国道117号 長野市を起点とし小千谷(おぢや)市に至る一般国道。総延長139.7km。県内延長53.0km。新潟県管理。昭和28年2級国道117号長野小千谷線として昇格。県境の宮野原から信濃川に沿い十日町市を経て小千谷市に至る。JR飯山線と並行する長野県との重要連絡路であるが,峡谷部の難所や豪雪地を通過し,積雪期には交通が途絶するため,道路拡張や付替え工事が進む。旧善光寺街道に沿う新国道。 国道148号 長野県大町市を起点とし糸魚川(いといがわ)市に至る一般国道。総延長75.1km。県内延長25.4km。新潟県管理。昭和28年2級国道148号大町糸魚川線として昇格。江戸期の松本街道に当たり,かつて塩の道とよばれ信濃と越後を結ぶ重要な街道であった。県境の姫川峡谷はJR大糸線が貫通するまで通行困難であったが,姫川の電源開発を契機に開削。沿線は小滝のヒスイ産地や白馬の登山口,温泉・スキー場があり,観光道路の役割も大きい。狭隘区間の解消のために根小屋バイパス(糸魚川市根小屋~横町間1,232m)を昭和60年から供用開始。冬期の交通確保のため平岩トンネルの計画がある。 国道252号 柏崎市を起点とし福島県会津若松市に至る一般国道。総延長206.0km。県内延長102.8km。新潟県管理。昭和38年4月2級国道に昇格。柏崎市鯖石の谷を通って十日町盆地で国道117号に接続,のち東へ分岐し,北魚沼郡小出町からJR只見線と並行して福島県に抜ける。途中の柏崎市~堀之内町間は道路状態が悪く,冬季豪雪地帯のためたびたび交通が途絶したが,昭和41年より改良工事が始まり,山中・越ケ沢・三坂の各隧道完成により冬季間の通行が可能になった。 国道253号 上越市直江津を起点とし南魚沼郡六日町に至る一般国道。総延長71.4km。新潟県管理。昭和38年4月2級国道に昇格。東頸城(ひがしくびき)山地と魚沼の盆地群を連絡する山間国道。上越市から保倉川にほぼ沿って東進し,東頸城郡松代町を経て十日町市に出,国道117号に交差したのち,八箇峠トンネルで魚沼丘陵を越え,六日町で国道17号に接続。山間地を通るため難所が多く,特に松代町~名ケ山間は道路幅が狭く,山の斜面を走るため積雪期は通行止めが多かった。沿線の10市町村の期成同盟会が改良工事を求め,昭和54年薬師トンネル,同57年鐙坂トンネル,同60年名ケ山トンネルが完成し,同区間の改良工事はほぼ終了。江戸期の松之山街道筋に当たる。 国道289号 新潟市を起点とし福島県いわき市に至る一般国道。総延長330.7km。県内延長123.2km。新潟県管理。昭和45年に昇格。通称は本州中部横断国道。新潟市本町通りから国道116号と重複して西蒲原郡吉田町まで進み,分岐して燕市を経て中ノ口川,三条市で信濃川を渡り,五十嵐川沿いに南下,笠堀ダムの下流側から烏帽子岳の頂上付近を越えて,県境の八十里峠を通り,福島県白河市~棚倉町を経て終点いわき市に至る。南蒲原郡下田村で大谷トンネルを開削中であるが,烏帽子岳付近の山岳部は通行不能。平地部では三条生活圏の地方幹線として重視され,また,県境の林産資源および観光の開発に期待がかけられる。旧八十里越街道に当たる。 国道290号 村上市山辺を起点とし北魚沼郡小出町に至る一般国道。総延長182.9km。新潟県管理。昭和45年新発田(しばた)~小出間が一般国道に昇格,同50年村上市~新発田市間延伸。村上市を出て櫛形山脈の東側山麓部を通り,加治川を渡り,新発田市に入り五頭山麓の丘陵地を経て阿賀野川を渡り,五泉市―中蒲原郡村松町―南蒲原郡下田村―栃尾市から山間を通り,小出町に至る。新潟平野の南側山麓および丘陵地などの市町村を連絡する幹線道路。各地域の生活と産業のほか,温泉やハイキング等の観光開発の役割も大きい。山間の多い本県では画期的な新国道計画の1つである。狭隘区間の解消工事として岩船郡神林村の有明バイパス,新発田市の菅谷バイパス(昭和59年度供用開始)を開設。 国道291号 群馬県前橋市を起点とし柏崎市に至る一般国道。総延長206.4km。県内延長125.0km。新潟県管理。昭和45年一般国道(前橋市~北魚沼郡小出町間)に昇格,同57年小出町~柏崎市間に延伸。前橋市から沼田市を経て,県境の清水峠を越えて南魚沼郡塩沢町に入り,同郡六日町―小出町―小千谷(おぢや)市を通り,小国盆地を横切り柏崎市に至る。江戸期の清水街道筋に当たる。国道290号(村上市~小出町間)と連絡して奥地山村や山間盆地間の僻地開発に期待がかけられている。 国道292号 群馬県長野原町を起点とし新井市に至る一般国道。総延長116.8km。県内延長12.6km。新潟県管理。昭和45年一般国道に昇格。江戸期の飯山街道筋に当たり,北国街道が制定されるまでは,信州から越後に抜ける幹線であった。県境の斑尾高原は観光地の開発が進み,交通量も増加しているが,積雪が多く,冬期間の交通確保が問題である。現在全線にわたって改良工事が行われている。 国道345号 新潟市を起点とし山形県遊佐町に至る一般国道。総延長231.0km。県内延長126.1km。昭和50年度村上市~遊佐町間が国道に昇格,同57年度に新潟市~村上市間に延伸。新潟県管理。新潟市から海岸線を北上し,村上市で三面川の瀬波橋を渡り,海岸線とJR羽越本線に並行して,岩船郡山北(さんぽく)町勝木で国道7号に重複,鼠ケ関で分岐し遊佐町に至る。村上市から勝木に至る海岸線沿いの生活道路と水産業などの輸送路や,観光道路としての役割を果たしている。江戸期の北国浜街道・庄内街道の浜通りに当たる。 国道350号 新潟市を起点とし佐渡を経由して上越市直江津に至る一般国道。総延長186.5km。実延長49.2km。新潟県管理。昭和50年国道に昇格。新潟市本町―湊町通―緑町を経由し,新潟港から海路で佐渡の両津港へ渡り,両津市から金井町―佐和田町―小木町を経て,小木港から再度海路で上越市の直江津港に至り,同市下源入で国道8号に合流する。本州と佐渡ケ島とを結ぶ唯一の路線で,佐渡との交流や観光路としての役割を果たしている。 国道351号 栃尾市を起点として長岡市を経由して小千谷市に至る一般国道。総延長55.8km。昭和27年一般国道に昇格。新潟県管理。 国道352号 柏崎市を起点とし栃木県石橋町に至る一般国道。総延長335.4km。県内延長158.4km。新潟県管理。昭和50年栃木県今市市~長岡市間国道に昇格,同57年柏崎市~長岡市間および今市市~石橋町間延伸。柏崎市から,江戸期の北国街道沿いに海岸道路を三島(さんとう)郡出雲崎町まで北上,ここから西山丘陵に入り,中永隧道を通り,長岡市に至る。さらに悠久山から萱峠を越え,古志郡山古志村―北魚沼郡小出町を経て,同郡湯之谷村の枝折峠を越え,奥只見湖を経て福島県檜枝岐村に出,終点の石橋町に至る。小出町からは,江戸期の銀山街道を改修し,奥只見湖の西側を回って鷹ノ巣に出る。鷹ノ巣からは尾瀬原への最短距離となり,夏場は観光客でにぎわう。 国道353号 群馬県渋川市を起点とし柏崎市に至る一般国道。総延長190.1km。県内延長142.6km。昭和50年一般国道に昇格。県内の道筋は,南魚沼郡湯沢町から本県に入り,同町浅貝で国道17号に合流し,同郡塩沢町石打で国道17号と分岐,十二峠トンネルで中魚沼郡中里村田沢に出,国道117号に接続し,東頸城(ひがしくびき)郡松之山町―松代町―刈羽郡高柳町を通って鵜川の谷から柏崎市に至る。不通区間が両県に各1か所ずつある。本県側では柏崎市折居~高柳町石黒間5.5kmで,同区間は国の直轄事業として昭和58年度から工事が始まり,同60年高柳町上石黒(720m)が完成。十二峠から魚沼スカイラインに連絡して尾根筋の観光も楽しめる。 国道402号 柏崎市を起点とし新潟市に至る一般国道。総延長77.7km。うち併用延長35.5km。新潟県管理。昭和57年一般国道に昇格。柏崎市から三島(さんとう)郡出雲崎町まで国道352号と併用,同郡寺泊町~西蒲原郡岩室村間瀬を通り,越後七浦シーサイドライン―越前浜―五十嵐浜と海岸通りを経て新潟市に至る。江戸期の北国街道筋に当たる。新潟市街地の交通混雑解消のための新潟市五十嵐2の町~有明間のバイパス建設計画がある。 国道403号 三条市を起点とし中蒲原郡亀田町に至る一般国道。総延長36.7km。新潟県管理。昭和57年一般国道に昇格。三条市からJR信越本線にほぼ沿って,加茂市から南蒲原郡田上町の山麓部を通り,新津市を経て亀田町に至る。新津市街地の交通混雑解消のため,新津市古田~中蒲原郡小須戸町矢代田間バイパス(940m)が昭和58年度供用。また,田上町羽生田~三条市塚野目間(8,320m)の改良工事が計画されている。 国道404号 長岡市を起点とし上越市に至る一般国道。総延長88.3km。うち併用延長32.3km。新潟県管理。昭和57年一般国道に昇格。長岡市を起点として長生橋より信濃川右岸に出,三島(さんとう)郡越路町から渋海川をさかのぼり,中魚沼郡川西町中仙田を通って,東頸城(ひがしくびき)郡松代町で国道253号に合流,さらに保倉川沿いに走り,同郡浦川原村を経て上越市に至る。狭隘区間と交通混雑解消のため,深沢バイパス(長岡市深沢,1,715m)を昭和60年度から供用開始。 国道405号 上越市を起点とし南魚沼郡塩沢町に至る一般国道。総延長85.3km。うち併用延長24.6km。新潟県管理。昭和57年度一般国道に昇格。上越市から東頸城(ひがしくびき)郡牧村―同郡松之山町三方峠―天水越えを通って,中魚沼郡津南町で国道117号に合流。十日町市に至る国道253号を併用して八箇峠を越え,国道17号を重用して塩沢町に至る。 KADOKAWA「角川日本地名大辞典」JLogosID : 7072994