守門岳
【すもんだけ】

南蒲原郡下田村,北魚沼郡入広瀬村・守門村の境界の山。山体の北西斜面は栃尾市にもかかる。越後三山只見国定公園,奥早出粟守門県立自然公園の一部。標高1,537.6m。諏門岳・巣守山・蘇門山などとも記される。由来には諸説があるが,鶴の巣ごもりが転じて,巣もり―すもんとなったという説が一般的。守門岳の山体は,新第三系を基盤とし,その鮮新世から第四紀洪積世初期にかけて活動を始めた火山で,主として安山岩溶岩および火山砕屑物からなる成層構造が顕著。山頂部には,北方に開くU字形の旧火口がみられる。守門川はこの旧火口から北流して五十嵐川となり,山体の東麓から南麓にかけて破間川が弧を描いて西流する。旧火口をU字形に囲む稜線部には,最高峰の守門岳を中心として,東側に烏帽子山,西側に大岳がある。烏帽子山の東方に尾根をたどると福島県境となるが,直下の鞍掛峠には越後・会津を結んでいた八十里越の険路がある。広義の守門岳は,これら3山の総称であり,狭義の守門岳を袴岳ということもある。栃尾方向からは,大岳が守門岳に見えるので,ここに巣守神社の石碑と石祠を置き,信仰の対象としている。山体はおおよそブナの原生林からなるが,大岳から守門岳の山頂付近は草原。とくに,初夏にはニッコウキスゲをはじめとした高山植物の花畑となる。U字形火口から流出する大崩沢や硫黄沢には雪庇雪崩によって集められた残雪が万年雪となっている。また,毎年3月に守門滑降距離スキー県選手権大会が開催されている。登山は,栃尾より栃堀行きのバスを利用し,栃堀バス停留所下車後,刈谷田川の谷沿いから,大岳西方に延びる尾根のコースをとるのが一般的である。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7074654 |