100辞書・辞典一括検索

JLogos

30

中江用水
【なかえようすい】


高田平野を貫流する関川右岸地域を灌漑する用水路。新井市西条で関川から取水し,中頸城(なかくびき)郡板倉町山越で東北電力板倉発電所の放流水も合わせて,上越市直江津地区で保倉川に合流する。幹線用水路約2万6,000m,灌漑面積約2,900haの同平野最大の用水路である。名称は当用水が平野中央部を貫流することによる。開削は,始め寛文年間頸城郡の大肝煎和田七郎右衛門ら12名によって計画,高野村(現板倉町)まで掘られたが,資金面で頓挫。延宝年間高田藩主松平光長が家老小栗美作に命じ藩営事業として続行させた。小栗は河村瑞賢を開削顧問に招いたともいう。延宝2年着工,同3年竣工(同6年とも)。関係村数107か村,石高2万674石。関係村々は中江用水組を組織し,2人の江守役を中心に運営,明治7年に中江用水組89ケ村組合と改称,同34年には中江普通水利組合に改組。昭和26年中江土地改良区が組織されて現在に至る。同用水は開発当時から高田藩の特別な保護を受け,水路や堰樋の修理普請に要する経費は郡中の余荷(よない)として,頸城地方の用水に無関係の村々にも負担させる特権を与えられ,明治7年まで続いた。また,水源とする関川と,その源流の野尻湖の水利権について,他の用水組や電力会社と利害上いろいろな折衝を経てきたが,現在も大幅な水利権を保持している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7076039