日本国
【にほんこく】

岩船郡山北(さんぽく)町と山形県温海町にまたがる山。標高555.4m。内陸の摩耶(まや)山系から西に派生し,日本海に達する稜線上にある1峰。稜線の北側は山形県温海町。山は日本国片麻岩からなり,ふもとの小俣渓谷の露頭には千枚岩様の片理が見られる。山容は摺鉢を伏せたようで地元では石鉢山とも呼ぶ。「庄内風土略記」に「日本国」の山名に関する多くの伝説が記される。大和朝廷の東征による蝦夷地との境,「ここまでが日本国」説,江戸期この山で獲れた鷹を領主に献上したところ賞讃して「獲れた山を日本国と名付けよ」説などで,定説はない。地元山北町では山名の珍しさと「伝説の山」を宣伝,ロマンを求めて登山者が増えた。登山はふもとの山北町小俣から1時間半,登山道に戊辰戦争の跡が見られる。三角点のある頂上から粟島・佐渡・朝日連峰が一望できる。東の鞍部を堀切峠が通る。峠を越えれば山形県小国街道に通じる。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7076829 |