日本海
【にほんかい】

「にっぽんかい」ともいう。樺太(からふと)(現在のサハリン)・日本列島・朝鮮半島に囲まれ,間宮海峡(現在のタタール海峡)・東朝鮮海湾・対馬海峡・能登半島を頂点とする四角形の海で,太平洋の縁海である。日本列島をアジア大陸から分離させている海として,他方,日本の日本海側の各地域の気候に大きな影響を与える対馬暖流とリマン寒流が流れ,日本列島に与える影響は大きい。日本の文部省はSea of Japan,国際水路局はJapan Sea,朝鮮半島では東海(とうかい)という。面積約100万km(^2)・平均深度1,350m・最深3,712m・体積136万km(^3)。日本周辺の付属海の中では最深。大陸棚の面積約20万km(^2),北緯40°~44°の中部域は,3,000m以深であるが,南西部の海底は起伏が多く,朝鮮半島東岸から能登半島に至る間には,大和(やまと)海嶺(大和海膨とも書く)があり,ここに大和堆(水深286m),北大和堆(水深397m)がある。対馬海流は,黒潮の一部が奄美(あまみ)大島付近で分かれて北上し,対馬海峡を経て,日本海に流入した対馬海流は,さらに対馬海峡で二分され,その主流は日本列島の日本海側を北上し,他の流れは東鮮(とうせん)海流と称され,日本海中央部を横断して秋田沖で再び主流に合流。対馬海流は流速0.3~0.8ノット,最大2~3ノット。幅1,600kmで,厚さ約100m。その3分の2は津軽海流となって太平洋にでるが,他は北海道西岸を北上し,宗谷海流となってオホーツク海に流出する。対馬海流の流量は黒潮の約40分の1。アジア大陸側には,リマン海流・沿海州海流・北鮮海流があるが強い流れではない。これらは0.5ノット以下の流速。水深100m以深には,日本海固有の水塊(水温0.2°C・塩分34.1パーミル・高酸素量)がある。このため栄養塩類やプランクトンが多く,魚族に富む。深層ではタチウオ・タラなどの冷水魚が多く,表層ではサバ・イワシ・タイなどの暖水魚がとれる。また,日本列島が温和な海洋性気候下におかれているのに果たす日本海の作用は大。冬季北西の季節風が日本海を横断してくる間に,寒冷で乾燥したシベリア寒気団が海面から熱と水蒸気の供給を受けて,湿潤な暖気と化し,これが日本の日本海側に多量の降雪をもたらす。脊梁山脈を越えた季節風は,太平洋側の各地に乾燥風を吹き下ろす。間宮海峡などの日本海北部の水域や沿海州沿岸は冬季結氷する。日本海の潮差は,0.2~0.5mで,日本列島周辺では小さい方である。日本海の名称は,ロシアのクルゼンシュテルンが1815年に出版の海図で使用したことに由来。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7088940 |