巣原
【すわら】

旧国名:越前

雲川左岸に位置する。「名蹟考」は南山中西谷より南にあり当郡南の果てといい，さらに今立郡池田郷美濃俣村より東に向かい，深山を越えて入る所と記す。この山道は約10km，その中間に巣原峠がある。「名蹟考」今立郡池田郷の項では此谷は北を以て表とし，足羽(あすわ)郡より大野郡を経て入り，東（奥池田のこと）は大野郡にまたがると述べている。雲川は温見(ぬくみ)峠を発し，村の北方にそびえる部子山・銀杏峰と南方に重なる倉ノ又山の間を流れ，中島で笹生川と合流して真名川となる。村の南東の平家平は平家落武者60軒が隠れ住んだ所といい，村人にも平家の血が混じったと伝承する。旧盆に氏神神明神社の境内で踊られる平家踊（太鼓踊）は県無形民俗文化財。慶長３年巣原村百姓山検地帳（山崎吉左衛門家文書／大野市史諸家文書編）によれば，高５石５斗うち米３石６斗余・稗１石１斗余とあり，同年の除分覚帳（同前）には，高持９・雑家15，男女91とある。慶長国絵図には村名が見えない。
【巣原村(近世)】　江戸期～明治22年の村名。
【巣原(近代)】　明治22年～現在の大字名。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7093378