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坂部
【さかんべ】


旧国名:信濃

天竜川中流右岸の山地に位置し,下伊那地方の最南端にあたる。南は三河国設楽(したら)郡。地名の由来については,江戸期明和年間成立の「熊谷家伝記」によれば,昔木曽義仲がこの地の老夫婦の小庵に泊まり,出発に際して地名を尋ねたところ,まだ決まっていなかったことから,義仲が夫婦の名の左膳・阿閑から左閑部(さかんべ)とするようにといったとの伝承がある(新しなの地名考)。同伝記には熊谷氏が焼畑を切り開いて文和2年春から山作を始め,以後諸山を切り開いたともある。平家の落人集落との伝承もある(県史民俗2-1)。また関家は伊勢の出身で,最初新野に住みついたのち,4代目の弟が坂部に住したといい,関家は小笠原家の臣として坂部に住みつき,当主四郎左衛門が熊谷家の菊子姫と結婚して親戚関係を有したともいう(同前)。地内元村の観音堂には,康応元年8月日の年紀を有する鰐口がある(信史7)。
左閑部(中世)】 室町期から見える地名。
坂部村(近世)】 江戸期~明治8年の村名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7100889