瑞光院
【ずいこういん】

下伊那郡阿南町新野にある寺。曹洞宗。山号は祥雲山。本尊は聖観世音菩薩。はじめ瑞光庵といわれ,十九庵洞の南東面台地上にある字すいかんの地に,享徳2年関盛国が父盛春の菩提を弔うために建立。その後,永正17年3代関春光が寺山の地籍八幡に移転し,享禄2年子春仲が光国舜玉を開山とし,禅刹祥雲山瑞光院として創建した。その前年関春光は長子関善玉を失い,亡子追悼供養のため梵鐘を鋳造して当寺に寄進した。梵鐘の銘文には「大日本国伊那群(郡) 伊賀良庄閞郷 於新野村鋳鐘 本願平右馬允入道 沙弥(弥)秀繁 為子之廿歳逝去」とある。関右馬允春光は,同3年に旧居館八幡原の地を院領として寄進し,自分は日差城に移住した。開山となった光国舜玉は,甲斐の武将武田信虎の弟で信玄の叔父にあたる。天正3年12月武田勝頼が当寺に禁制を下し,寺中諸役など3か条の違背を禁じている(瑞光院文書/信史14)。武田氏滅亡後,天正10年下条信氏は瑞光院へ定書を寄せ,寺規を厳にして子孫においても退転せざるよう命じている(同前/信史15)。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7101441 |