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林城
【はやしじょう】


戦国期の山城。松本市里山辺字林,大嵩崎,入山辺字橋倉にわたって所在。県史跡小笠原城跡の一部。大城・小城・城下町から構成される。薄川の谷の南に延びる尾根崎にある。大城は,その瘤状の小山(標高852m)の上に49m×22~38mの台形の主郭を置く。下の林集落との比高約200m。北は薄川に面して急峻。南には大嵩集落を挟んで小城を置く。大手口と見られる金華橋袂から尾根筋に至る約700mの間に5個の大きな空堀を切る。主郭は基底4m,上部1~2m,高さ3mの土塁を廻らす。東はやや下がって小郭あり,一段下がって尾根に続く。主郭も含めて,馬場と呼ばれる細い帯郭が取り巻く。西に下がって主郭よりやや狭い副郭がある。土塁を廻らし,主郭との間には深い空堀を切る。西へ空堀・土塁を挟んで,小段郭が数個続き,より小さな郭がある。やはり土塁が廻る。西は空堀・小段郭と続く。大手より登ると,郭・土塁・空堀の繰り返しの構成である。水の手は主郭の北東下の化粧水へ,北東方にある橋倉の沢から引水している。橋倉には水番城を置く。主郭を裏に下がると大嵩崎集落に出,小城に通じる傾斜の緩い小道がある。小城は大城の南西の尾根上,標高787mに主郭を置く。主郭は22m×31mで,土塁を廻らし三方は石垣を積む。後ろ側の土塁は特に大きく衝立状で,高さ4m。その後ろは深い空堀。主郭の前面にやや狭い副郭を置き,その東から主郭を巻くように帯郭を造る。北に拡がる斜面には,無数の堀割と小段郭を造る。主郭部は整い,新しい改修と思われる。城下の林集落には,立町・横町の地名が残り,城主小笠原氏の菩提寺広沢寺もあり城下町の姿を止めるが,居館跡は不明。小笠原氏の本城で,文明年間小笠原長朝の弟光政の築城と考えられる。天文19年武田晴信の侵攻のため落城,破却される。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7102767