三才山峠
【みさやまとうげ】

松本市三才山と小県(ちいさがた)郡丸子町西内の境にある峠。標高1,528m。松本市街を流れる女鳥羽(めとば)川沿いにさかのぼり,源流の急坂を登りつめた筑摩山地の鞍部を越える。江戸期,松本から江戸へ行くのに,上田を経て追分で中山道に合する三才山峠越えのルートが,最短距離として多く利用された。明治維新後,東京への交通が増加するとともに,この峠の重要性が高まり,明治9年から同14年にかけて3回にわたり,三才山峠開削が画策されたが,地形が険しく実現を見ることがなかった。昭和47年に至り,長野県は地域開発の重要施策として峠の開削に着手。旧峠の地下約450mに,全長2,450mに及ぶトンネルをうがち,同51年三才山トンネル有料道路として開通させた。昭和45年このルートは国道254号に格上げされて,松本の浅間温泉と丸子の鹿教湯(かけゆ)温泉,また美ケ原高原などとの連携も進み,関東と関西を結ぶ産業・観光の大動脈となっている。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7103475 |