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日部郷
【くさかべのごう】


旧国名:尾張

(古代)奈良期~平安期に見える郷名。「和名抄」尾張国愛智郡十郷の1つ。「和名抄」では当郷の訓を欠くが,「尾張国風土記」逸文には「部」とあることから,「くさかべ」と訓まれたと思われる。奈良期の天平勝宝2年4月11日付仕丁貢進文には「長谷部千松〈年十,尾張国愛智郡日部郷戸主長谷部呰麻呂戸口〉」とある(正倉院文書/寧遺中)。ところで,「延喜式」神名帳の尾張国愛知郡17座のなかに伊福神社が挙げられているが,「尾張国風土記」逸文には「愛知郡,福興寺〈俗名三宅寺〉,南去郡家九里十四歩,在部郷伊福村」とされており,同社は当郷内伊福村に鎮座したと考えられる。当郷の比定地は,この風土記逸文から推測しうるにすぎないが,福興寺・郡家・伊福村・伊福神社のいずれも所在地も不詳であり,当郷の比定地もまた不詳のままである。なお,「尾張志」は愛知郡祐福寺村(東郷町),「地理志料」は八事荘(八事・植田・島田),「地名辞書」は不詳としつつも,のちの那古野・広井・押切(名古屋市西区)一帯,というように諸説の比定地は様々である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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