市木村
【いちぎむら】

(近代)明治22年~昭和31年の南牟婁(みなみむろ)郡の自治体名。上市木村と下市木村が合併して成立。旧村名を継承した2大字を編成。市木川流域に位置する。明治22年の戸数561・人口2,697(町村分合取調書)。同43年上市木尋常小学校・下市木尋常小学校にそれぞれ高等科を併置。明治初年より織物工業が行われており,同38年市木織物同業組合を結成,従来の足踏織機に代わって動力織機が導入された。当村で織られる木綿は「市木木綿」と呼ばれ,村の主要産業となっている。明治40年村内の諸社を上市木の中森八幡宮に合祀,村社八幡神社と改称。大正元年の戸数620・人口3,034。同6年下市木区の治水のため熊野街道の緑橋を改修。同8年市木郵便局が開局。大正期には養蚕が発達し,同10年の生産額は7,644円で郡内第2位であった。大正11年の織物業者71戸,職工は165人(南牟婁郡誌)。昭和25年の世帯数750・人口3,754,農業人口が全産業人口の約75%を占めており,柑橘類の栽培に力が入れられている。同31年市木尾呂志村の一部となり,当村の2大字は市木尾呂志村の大字に継承。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7125220 |