100辞書・辞典一括検索

JLogos

62

大台ケ原
【おおだいがはら】


大台ケ原山ともいう。古くは大平(おおだいら)ともいい,大平原とも呼ばれるようになった。多気郡宮川村と奈良県吉野郡川上村・上北山村との境にある高原状山地。標高1,300~1,600m・面積約40km(^2)で,県内最高地点。紀伊半島中央部東寄り,半島の脊梁を形成する台高山脈の主峰で,日出ケ岳(1,695.0m)・三津河落(さんづこおち)山(1,654.0m)・経ケ峰(1,528.9m)などの峰々に囲まれる。成因は第三紀中新世に隆起した準平原が浸食されたもので,峰々はその残丘といわれる。山上には正木ケ原・千石ケ原・牛石ケ原などの平坦地があり,北部に高く,南西部に傾斜している。熊野川・紀ノ川・宮川・銚子川の源流に当たる。南西部には東ノ滝・中ノ滝・西ノ滝・千石岩・蒸籠岩・大蛇岩などの滝と大岩壁があり,熊野川の上流東ノ川が南流する。北部には釜之公谷があり,紀ノ川の上流本沢川が北西流する。北東部には西ノ谷・堂倉谷があり,宮川が北流し,その上流域は大杉谷峡谷と呼ばれる。南部には二ノ俣谷があり,銚子川が熊野灘に向かって東流する。山上一帯はわが国の最多雨地で,年降水量は5,100mmを超え,特に7月から9月に多い。大正12年9月には24時間で1,011mmを記録し,この特有の局地豪雨を背降りと呼んでいる。植物分布は,標高1,500m以上は亜寒帯性針葉樹林帯に属し,トウヒ・ハリモミ・ウラジロモミ・トガザクラが多く,特に日ノ出岳から正木ケ原にはトウヒ・ウラジロモミの原生林が広がる。牛石ケ原などの平坦面にはイトザサの群落が見られる。標高1,500m以下の山地は落葉広葉樹林帯に属し,ブナ・ミズナラが多い。野生動物は,国特別天然記念物のニホンカモシカ,クマ・シカ・イノシシ・サル・タヌキなど主要な哺乳類が生息し,ニホンオオカミの最後の生息地でもあった。鳥類はコマドリ・ウグイス・ホトトギス・オオルリ・カケス・メジロ・ヤマガラなど種類も多い。両生類は,県天然記念物の大台ケ原サンショウウオのほか各種のカエルが生息している。魚類もアメゴ・ウグイ・アユ・ギギなど多種にわたる。登山の歴史は,神武天皇の征討,空海・最澄の入山などの伝説もあるが,江戸期には主に薬草採取を目的に入山していた。明治18年には,当県出身の北海道探検家松浦武四郎が入山し開拓を試みている。同26年には古川嵩が山上に大台教会を建て,同32年には殿堂を完成,以来宗教的登山者が増加した。昭和11年には吉野熊野国立公園として5,600haが指定された。山上からの展望は雄大で,大峡谷・原始林などの自然美に恵まれ年々登山者が増加している。山上一帯には日出ケ岳・正木ケ原・大蛇岩などを巡る大台ケ原山上周辺観光コース,苔の観賞路があり,松浦翁碑・古川翁碑・神武天皇像があり,駐車場・山の家・博物展示館も完備している。登山道としては当県側からは宮川村大杉谷峡谷沿いの大杉谷道,尾鷲(おわせ)市古和谷から雷峠経由の尾鷲道,奈良県側からは川上村からの筏場道,上北山村からの河合道・伯母峰道がある。昭和36年には上北山村の国道169号(旧熊野街道)から大台ケ原スカイラインが建設され,大和上市からバスが運行している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7125674