100辞書・辞典一括検索

JLogos

19

金山パイロット蜜柑園
【かなやまぱいろっとみかんえん】


熊野市南部,熊野市駅から約8kmにある県内最大のミカン園。果樹園面積約200ha。山間の集落にあるミカン園で,南はオレンジロード・国道42号に接続し,御浜(みはま)町に通じている。地名は「新くまの風土記」によると慶長・寛文年間の記録では金野山,古くは貝山とあるが,峡山(かいのやま)が金山に転化したことによるという。有田を中心とする紀州ミカンは天正年間九州より伝えられ,徳川頼宣や新宮城主水野氏が奨励して熊野地方に伝わったという(紀伊南牟婁郡誌)。当地方では最初は食用と防風を兼ねて家屋の周囲に栽培したが,明治30年頃から夏ミカン・温州ミカン・ネーブルの栽培が盛んになる。昭和34年,伊勢湾台風の被害による農作物問題が起き,土地気候が最適なのに着目して柑橘研究同志会が中心に,県営開拓パイロット事業を計画,同36年基礎調査,同48年開拓事業を完成した。切盛り20~40mの大規模修正山成工法による開墾,10~20度の丘段式ミカン園,幹交線道路のほかに20m間隔に3.6mの農道を設け,高性能機械・近代的施設の導入によって合理化・省力化が図られている。収穫は地帯区分を設け,青切り35ha・着色60ha・ミカン狩り15haに分ける。9月下旬~12月末に主として中京市場に出荷。観光ミカン狩りで自然休養村の指定を受け,毎年5万人前後の入園者がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7126043