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鈴鹿国定公園
【すずかこくていこうえん】


三重・滋賀両県にまたがる鈴鹿山脈を中心とした山岳公園。昭和47年7月21日国定公園に指定,昭和45年12月,昭和50年4月に一部追加指定されて,面積2万9,821ha,うち当県の占める面積は1万2,708.8ha,全体の42.6%。藤原町(1,221.5ha)・北勢町(629.3ha)・大安町(1,189.5ha)・菰野(こもの)町(4,145.5ha)・四日市市(637.8ha)・鈴鹿市(1,685.4ha)・亀山市(1,919.8ha)・関町(1,002.7ha)・伊賀町(277.3ha)の3市6町に及ぶが,菰野町が最大面積を占める。特別保護区858.2ha・特別地域1万1,829.1haが大部分を占め,普通地域は21haにとどまる。伊勢平野と近江平野の境,伊勢湾水系と琵琶湖水系を東西に分ける標高1,000~1,200mの鈴鹿山脈は,傾動断層山脈で,大部分が秩父古生層からなり,石灰岩を主に砂岩・チャート・輝緑岩が多い。山頂緩斜面の発達が目立つ。山脈の東・西は丘陵地と台地が広がり,断崖絶壁・奇岩が多く,美しい渓谷群を形成し,温泉も湧出する。また本州のほぼ中央部に位置するところから,種々の生物の混在がみられるのが特徴で,植物ではホンシャクナゲ・アセビ・イヌツゲの群落やブナの原生林が天然記念物の指定を受けており,動物では,国特別天然記念物ニホンカモシカ,県天然記念物のキリシマミドリシジミ(菰野町内)が生息する。鈴鹿山脈は,最高峰の御池岳(1,241m)をはじめ,鈴鹿セブンマウンテンとして親しまれる藤原岳・竜ケ岳・釈迦岳・御在所山(1,209.8m)・雨乞岳・鎌ケ岳・入道ケ岳などが連なり,登山者でにぎわう。絶壁を利用してロッククライミングの練習に精を出す若者の姿もしばしば見受けられる。観光の中心となる御在所岳へは,山麓の湯の山温泉(アルカリ性ラジウム泉)から東洋一の規模を誇るロープウエー(全長494m)を利用して18分で頂上に連絡する。山頂には展望台・公園・カモシカセンターもある。近鉄が湯の山まで通じて,温泉・登山・ハイキング・スキーに四季を通じての観光・行楽地として人気が高い。さらに変化に富んだ渓谷美を見せる宇賀渓・朝明渓谷・宮妻峡・石水渓も紅葉期には特に色彩豊かで,ハイキング・キャンプを楽しむ行楽客が絶えない。園内を東海自然歩道が通る。歴史的にも興味深い地域であり,天下の三関の1つ,鈴鹿峠は,伊勢と京都を結ぶ東海道の交通の要地として重要な役割を果たしてきた。関町には他にも日本最古の地蔵菩薩を祀る関の寺蔵院もある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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