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桃頭島
【とがしま】


「とかしらじま」(紀伊続風土記),「とがしらじま」(海上保安庁水路部海図),「とうがしま」(吉野熊野国立公園区域拡張記念帳)など読みは一定していない。また,東頭島(尾鷲大庄屋記録),戸頭島(紀伊続風土記)とも書く。尾鷲(おわせ)市の尾鷲湾口にあり,面積16haの黒雲母花崗斑岩を主とする急峻な島で,最高点に桃頭島三角点が置かれている。標高は,明治44年の測量で167.1m,昭和32年の測量で166.7m。全海岸に海食崖と海食棚が発達する。第三紀中新世の尾鷲層群堆積岩からなる南岸部は,標高50m前後の高い海食崖が連続し,海岸線が複雑に出入りする。対する北岸部は火成岩で,標高20m以下の海食崖が連なり,海岸線は比較的単調で,海食棚は幅が広く,連続している。行野(ゆくの)浦の瀬元(せもと)鼻との間は水深5m以下である。全島の山林は,近世期には,荘園的遺制と考えられる尾鷲九ケ在(中井浦・堀北浦・南浦・林浦・野地村・向井村・矢浜村・天満浦・水地浦)入会の立会山という形の共有林であった。三角点の北75m,標高115~120mの地点にある桃頭島灯台は昭和31年に建設された。閃白光,光度8,500カンデラ,光達距離20.5マイル,明弧全度,水面灯高130.41mの灯台である。同50年に吉野熊野国立公園拡張区域中の特別保護地区の1つに指定された。全島は,スダジイ・オガタマノキなどの暖帯天然林に覆われ,ホラシノブなどの羊歯類が繁茂する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7128005