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室生赤目青山国定公園
【むろうあかめあおやまこくていこうえん】


三重・奈良両県にまたがる国定公園。山岳自然公園で,昭和45年12月28日国定公園に指定。同50年4月の一部追加指定を経て現在は面積2万6,308ha,うち当県側は1万3,564ha,全体の51.6%に当たる。久居市(55ha)・名張市(1,855ha)・白山町(886ha)・美杉村(3,183ha)・飯高町(4,136ha)・青山町(1,302ha)・大山田村(1,128ha)・美里村(250ha)・伊賀町(769ha)の2市4町3村にまたがり,飯高町・美杉村の占める割合が大きい。特別保護地区31ha・特別地域1万3,249ha,さらに普通地域284haに分かれる。赤目一志峡・香肌峡・奥伊勢宮川峡各県立公園が隣接し,東海自然歩道の指定区域にもなって当県最大の公園地域を形成する。地形的には室生火山群・青山高原・高見山地に大別できる。室生火山群は溶結凝灰岩からなる山群で,ここを水源とする名張川・青蓮寺川などの河川の浸食による柱状節理が香落渓・屏風岩・小太郎岩・鎧岩・兜岩などに見られ,赤目四十八滝に代表される滝も多い。県境の倶留尊(くろそ)山(1,037.6m)など室生火山群の山々も興味深い。北部の青山高原は布引山脈の中央部を占める隆起準平原で,平均標高700~800mのなだらかな線が20kmにわたって続く。またこの地域は学術的に貴重な生物の生息地としても注目を浴びており,特に赤目峡谷を中心に分布する両生類中最大のオオサンショウウオや台高山地のニホンカモシカは国特別天然記念物として保護されるほか,ギフチョウ・ムカシトンボ・ハッチョウトンボ・エゾハルゼミなど昆虫も室生火山群を中心に数多く分布する。植物では,有名な青山高原のススキの草原をはじめ,アセビ・イヌツゲ・ツツジが群生し,高見山地ではブナの林,シャクナゲの群落,ツルマンリョウ・ヒダリマキガヤの群落がある。当公園の観光・行楽の中心赤目四十八滝は,昭和25年に日本観光地百選で第1位にランクされてから観光地として広く知られるようになった。また,香落渓は安山岩の柱状節理が林のように延々と続き,関西の耶馬渓と別称されるほどで,秋の紅葉シーズンは特に見事な景観をみせる。赤目から香落渓,さらに奥香落を回るハイキングコースが若者・家族連れに人気がある。青山高原もハイキングコースとして手頃な高原で,ふもとの榊原温泉も合わせて近年スポーツ・レジャー施設が整い,付近は別荘開発が進んでいる。奈良県側には女人高野で知られる新義真言宗別格本山室生寺があり,シャクナゲの名所として名高い。その他,長い歴史を担ってきた史跡も点在し,南朝北畠氏ゆかりの北畠神社および館跡庭園,天台宗延寿院,日本最古の若宮八幡宮などがその主なもので,ほとんどが文化財の指定を受けている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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