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若の松原
【わかのまつばら】


歌枕。鈴鹿市北若松町を中心とし,中若松町・南若松町を含む松原。古く平安初期に「妹に恋ひ吾の松原見渡せば潮干の潟に鶴鳴き渡る」(万葉集)が指摘でき,「伊勢島や潮干の潟の朝凪に霞にまがふわかのまつばら」(後鳥羽院集)が契機となって,13世紀中頃に歌枕「若の松原」が成立(続古今集)。「和歌の松原」とも。名所として河曲(かわわ)郡若松村に定着するのは江戸初期(勢陽雑記・伊勢名所拾遺集)。当時の海岸および松原は現況より数百m沖(伊勢名勝志)。なお,「万葉集」の吾乃松原(吾松原)は一般に「あがのまつばら」と読まれ,四日市市松原公園内聖武天皇社(北勢古志・東海の万葉)の説をはじめ,志摩国英虞(あご)郡(万葉考)・津市(倭訓栞・万葉集全釈)・一志(いちし)郡香良洲(からす)町(国漢11)・四日市市富洲原町(万葉三国志考)・三重郡楠(くす)町(万葉集注釈)など諸説があるが,万葉原歌は非地名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7130002