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大中之湖干拓地
【だいなかのこかんたくち】


神崎郡能登川町・蒲生(がもう)郡安土(あづち)町・近江八幡市にまたがる1,300haの干拓地。大中之湖は西に奥西(おくにし)山,東に愛知(えち)川の三角洲,北は愛知川の河口から伊崎(いさき)島に延びる砂洲,南は繖山(きぬがさやま)・安土山をひかえた小中之湖干拓地に囲まれた東西・南北ともに約4kmの内湖で,湖底は平坦で浅く,最も深い部分でも2.7mにすぎなかった。湖底は粘土・浮泥・スクモ(腐食泥炭土)・砂礫よりなり多量の窒素を含有している。この湖の干拓事業は,終戦直後の昭和21年,緊急食糧増産計画にもとづき国営事業として発足した。昭和28年9月の13号台風の試練を受けて計画の変更を余儀なくされ,同32年特定土地改良事業特別会計によって,戦前の人力に対して機械力を駆使する近代工事として着工された。面積1,300haのうち,道路・排水路用地等を除き1,023haが農用地である。昭和39年6月には湖底の一部が陸化,7月には湖心部の排水が完了した。淡水干拓地の長所として,土地改良の必要もなく入植が可能であり,その後3年間の基幹工事と並行して,同40年に入植者・増反者の選考を実施し,同41年には一部の入植者による営農が開始された。純入植者216戸・増反者147戸で1戸当たりの配分面積は前者が4ha,後者が1haである。新しく建設された集落は北部(能登川町),西部(近江八幡市),南部(安土町)の3集落で,1集落72戸である。農作物は水稲が686haに作付けされ,ほか夏作露地野菜・ハウス野菜・裏作野菜が栽培され,畜産関係では肉牛6,500頭・乳牛500頭・豚700頭などが飼育される。このように近代農業の模範地とされるが,干拓地の中心部で湖面より3m低く,集中豪雨時の排水問題,家畜の屎尿処理問題など多くの問題をかかえている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7133362