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羽田荘
【はたのしょう】


旧国名:近江

(中世)鎌倉期から見える荘園名。蒲生(がもう)郡のうち。13世紀後半には室町院領で,年貢万疋・弥鷹丸(預所か)給30石を課せられていた。このほか山門供料所50石も荘内にあった(蒲生郡志1)。室町院の死後は土御門姫に伝領されたが,その直後,正安3年に東接する延暦寺領得珍保(とくちんのほ)と相論があり,山門東塔仏頂尾衆徒等は羽田荘預所深恵入道らが保内へ打ち入り狼藉を加えたと訴えている(今堀日吉神社文書)。のち数代を経て宝鏡寺領となり,嘉吉2年8月には市村備後守数信が代官職を預り,年貢360石を同寺に請負っている(宝鏡寺文書)。長禄元年広橋家に伝領されたが,その前年の康正2年の「造内裏段銭并国役引付」にもすでに「広橋殿御家領」と見え,段銭7貫文を負担している(群類28)。寛正5年頃には万寿寺領もあったが,この伝領関係は明らかでない(荘園志料)。下って永禄11年4月には,上洛を目前にする織田信長が甲賀武士の佐治美作守に朱印状を出し,羽田荘等の知行を宛行っている(織田信長文書の研究)。現在の八日市市上羽田(かみはねだ)町・中羽田町・下羽田町付近を中心に,東は蒲生野の一部をも含んだ地域と考えられる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7134515