100辞書・辞典一括検索

JLogos

14

井堤ノ渡
【いでのわたり】


井堤の渉ともいう。綴喜(つづき)郡井手町に比定される渡し。大和街道(国道24号)が井堤川(玉川)を渡河する付近をさすという(井手町史)。「山州名跡志」に「盛衰記云。宮ハ平等院ヲ落サセ給ヒツツ。男山八幡大菩薩ヲ伏拝ミオハシマシテ。新野ノ池モ過サセ玉ヒテ。井堤ノ渉トイフ所マデ。延サセ玉ヒケリ此所ヲバ何トイフ。亦河ヲバ何トイフゾト御尋アリ。此辺ヲバ。山城ノ井堤ノ渉ト申シ。河ヲバ水無ト申候ト答ヘケレバ。打諾セ玉ヒテ。思召ツゞケラル」とあり以仁王が大和へ向かう途中,井堤ノ渡を通る様子を記す。また,「山州名跡志」の「井堤石橋,此橋昔井堤河ニ懸ル歟,今亡」とある「井堤石橋」,「都名所図会」井堤川の項にある「井堤岩橋」は平安期以降の文学や詩歌の題材となり,当時の大和街道が玉川を渡る際に利用したものと考えられる。しかし,その所在地は明らかではなく井堤ノ渡と井堤の石橋・井堤岩橋が同所であったか不明。石橋も数か所あったとも考えられるが,大和街道筋は,現在の井手町の水無集落から玉川を渡って南北に通じる道路と考えられ(井手町史),現在この地点に架かっている橋の付近に井堤ノ渡・井堤石橋・井堤岩橋が比定できる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7136715