北桑田郡
【きたくわたぐん】

(近代)明治12年~現在の京都府の郡名。「和名抄」以来,中世・近世を経て存続した丹波国桑田郡は,明治4年の廃藩置県によって京都府に属すことになった。明治5年京都府は管内各部を区画し,桑田郡219村を24区に分け,明治12年京都府は郡区町村編制法の施行により,桑田郡を南・北に分割し,北桑田郡は86か村で比賀江に郡役所が設置され,初代の郡長は藤野斎が就任した。明治18年に郡役所は周山に移された。北桑田郡発足時の郡勢は,反別2万1,199町4畝2歩,地価70万2,630円25銭9厘,戸数4,138戸・人口1万9,998人であった。北桑田郡は第15~24区を管下においていたが,この区を廃止して第1~6組の6組合に編成された。明治17年内務省の訓示により,北桑田郡には18か所に連合戸長役場が設置された。明治22年市制町村制の施行により,北桑田郡は神吉・細野・宇津・周山・山国・黒田・弓削・平屋・知井・宮島・鶴ケ岡・大野の12か村となった。北桑田郡には明治32年に郡会が開かれ,郡会議員16~18人によって郡自治が運営されたが,大正10年に廃止された。北桑田郡の戸数・人口は,大正7年4,261戸・2万880人,昭和5年4,045戸・1万9,169人,昭和25年4,490戸・2万2,037人で,昭和25年の1km(^2)当たり人口密度36人であった。職業別人口は農林業が昭和5年で7,770,昭和25年には8,480と郡総人口の約40%を占め,ついで土建業・工業が昭和5年に916,昭和25年に1,168で約5%で,北桑田郡において農林業の生業に占める位置の大きなことがわかる。それは北桑田郡の総面積597.51km(^2)(6万250町)のうち,森林の面積は560.51km(^2)(5万6,519町)で総面積の約94%にあたり,農耕地面積10.54km(^2)(1,045町)で,北桑田郡の林業の占める位置がいかに大きいかを示している。森林のうち,山国の祖父谷林,弓削の八丁天然林,芦生の天然林,黒田のアテ林が郡中有数の林業地帯である。昭和25年の森林所有形態別面積は,1町未満の所有者数1,127人で545町,1~5町は1,457人で4,141町,5~20町は1,049人で1万1,580町,20~50町は287人で9,439町,50町以上は171人で3万814町で,所有者総数は4,091人,総面積は5万6,519町である。材木の搬送は近代以前朝廷の儀式用材として貢納するものが陸路祖父谷峠を越えて人の肩で搬送される以外,すべて大堰川を筏で流下させて嵯峨に着けられ,問屋筋へ売却されたが,大正中期から筏搬送とともにトラック輸送がはじまった。北桑田郡からの筏下しは昭和20年5月で,周山街道の拡張整備で完全にトラック便にとってかえられた。北桑田郡北部の由良川も搬送に利用されたが,下流に消費地がないことと,水流が激しく岩礁が障害となり,材木流下の方法より馬による輸送に頼らねばならず,北部の森林の開発は大堰川流域に比して遅れた。林業・農業のほか,明治初期から養蚕業・製糸業が盛んになり,明治後期には弓削に稲波製糸工場が38台の器械と40人の工女で操業している。そのほか製材業・家具生産はじめ製炭業も副業として盛んであったが,石油・ガスにかえられ衰えた。交通については,大正5年に周山から船越峠を越えて山陰線殿田駅へ乗合馬車が通り,大正10年に同路をバスが開通した。また周山から京都市内へバスが運行するようになるのは昭和5年であり,昭和12年に鉄道省の省営バスが開通した。明治22年市制町村制の施行によって12か村が成立したが,12か村のうち周山村は昭和18年4月に周山町となった。同30年3月,周山町・細野村・宇津村・山国村・黒田村・弓削村の1町5か村が合併して北桑田郡京北町となった。合併時の面積228.82km(^2),戸数2,107戸・人口1万950,うち商工業408・農林業3,407,その他7,135である。昭和32年4月,旧黒田村広河原地区は京都市左京区(のち北区となる)に編入され,人口374・面積22km(^2)が京北町から除かれた。周山町はじめ1町5か村が京北町となった翌月の昭和30年4月,知井村・平屋村・宮島村・鶴ケ岡村・大野村の5か村が合併して北桑田郡美山町となった。合併時は戸数2,036戸・人口1万81,面積339.96km(^2)で,昭和40年には人口は8,048に減じている。京北町・美山町の成立に際して,北桑田郡神吉村は地勢・人情風俗・交通・経済・医療施設・通信などが船井郡八木町に共通するところから,昭和30年4月,八木町に合併された。合併時の戸数222戸・人口1,068,面積12.9km(^2)で,北桑田郡から船井郡へ神吉村が編入された。現在,北桑田郡は村はなく,京北町・美山町の2町があるのみである。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7139115 |





