田蓑の島
【たみののしま】

難波八十島の１つであるが，その位置については，摂津国田裳浦(たものうら)とするものや，天王寺の西側，大阪市北区堂島１～３丁目あるいは福島区鷺洲(さぎす)１～６丁目とするものなど諸説があり，詳らかではない。「顕注勘」では「田蓑島は天王寺の側に在り，遠所の七瀬の一なり」，「住吉大社解状」には，「九月御解除，田蓑島姫神社，在西成郡」とある。また，当島は古くから存在したことがうかがえ，「つゆけさの昔に似たる旅衣たみのの島の名にはかくれず」（源氏物語），「難波潟汐みちくらしあまころもたみのの島に鶴なきわたる」（古今集）や「天の下のどけかるべし難波がた田蓑の島にみそぎしつれば」（新後撰集）などの歌にも詠まれている。現在，堂島川に架かる田蓑橋は，この田蓑島の地名に由来するものと思われる。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7151419