花隈
【はなくま】

旧国名:摂津

花熊・鼻熊とも書いた。宇治川の東部，ゆるやかな傾斜の台地上に位置する。地名の由来は，山の尾根の出先にあることによるという（西摂大観）。一方，神をクマともいうことから，神内(くまうち)（神社領内）に対し，神社領のはずれという意味だという説もある（同前）。福徳寺は建久年間に九条関白兼実が建立，厭求上人の開基と伝える。法然上人が配流地の土佐から帰る際に同寺に宿泊，勧化したという。また，当初同寺は平野にあり，楠木正成が湊川の戦に負け自害する際，護身の十一面観音を同寺に納めたという伝説がある。これが同寺の本尊で，天正年間花隈の地に移ったと寺伝に記す。平清盛が祀ったという兵庫七弁天の１つ花隈弁天があったが，花熊城を築く際に生田神社内に移し，天明年間さらに宇治川河口の弁天浜に移したという。
【花熊(中世)】　南北朝期から見える地名。
【花熊村(近世)】　江戸期～明治５年の村名。
【花隈町(近代)】　①明治５～７年の町名。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7162372