100辞書・辞典一括検索

JLogos

7

福良港
【ふくらこう】


淡路島南西部,三原郡南淡町にある港。渦潮で有名な鳴門海峡に面し,古来避難港,四国への渡津として栄え,また鳴門海峡を中心とし南淡路の観光の拠点となった港。古代,畿内と四国を結ぶ南海道の渡津として水陸交通の要地で,中世は水軍の拠点であった。近世,阿波の蜂須賀家の支配下においては,地理的に四国に近い福良が要衝で,当時の道路元標が福良に置かれた。当時の波止場は原田川河口にあり,丸山山麓の海岸を舟入場とした。また,洲崎には舟番所があった。明治・大正期,島内百貨の卸売は福良商人が握っており,商港としてにぎわった。昭和7年に現在の船溜がつくられたが,荷揚場が狭いため同10年から現在の築地一帯が埋め立てられた。それに伴い,淡路鉄道が300m延長され,延長部分に福良駅が移された(昭和41年鉄道廃止)。第2次大戦後,船舶の大型化・高速化に対応するため,防波堤が延長され,向谷を埋め立てて,埠頭・荷揚場が拡大された。昭和29年に鳴門フェリー,続いて福徳フェリーが就航したが,江戸期に四国への裏航路であった阿那賀(西淡町)を拠点とする淡路フェリーの就航,三原町から阿那賀を経て福良に至るうずしおラインの開通により,時間的に短時間で四国につながる阿那賀へ車の流れが移り,間もなく廃航となった。大正期から四国への足であった阿淡汽船も,昭和60年大鳴門橋の架橋により廃航となり,渡津としての役割は終わった。戦後,ユースホステル・国民休暇村・海洋センター・戦没学徒記念若人の広場などの観光施設がつくられた。今後は南淡路の観光の拠点として発展しようとしている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7163298