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穴師
【あなし】


旧国名:大和

三輪山北西麓,大和川支流纏向(まきむく)川右岸に位置する。垂仁天皇が五十瓊敷皇子に与えた10個の品部の1つに「大穴磯部」があり(垂仁紀39年10月条),穴を掘り採鉱に従事する部民を意味したとされる。おそらく穴師も同様で,鍛冶の技術に長じた穴磯部が当地に居住し兵主の神や矛を神格化して祀ったことにちなむか。穴師川(纏向川または巻向川)上流の字ドロコに廃坑があり,俗称をカネホリバと称する。アナセ(南東の風)の吹く地域の称呼とする説,三方が丘陵に囲まれた地域を指す形状地名説などもある(地名伝承論)。なお穴師大兵主神社の社伝に地名起源説話が見え,神体は下社の天鈿女命とともに鈴の矛なので兵主神といい,天鈿女命がはじめて笛を作りこれを吹いたので,その鎮座地を穴師と称するとある(大倭神社註進状裏書所引斎部氏家牒/大和志料下)。なお「万葉集」には「痛背の河」(643),「痛足の川」(1087)として穴師川が,「穴師の山」として穴師山が見える。
穴師(古代)】 大和期から見える地名。
【穴師(古代~中世)】 平安期から見える地名。
穴師村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
穴師(近代)】 明治22年~現在の大字名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7165235