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磐瀬の杜
【いわせのもり】


飛鳥期~奈良期に見える歌枕。岩瀬とも書く。のちには,「いはせ山」とも見える。古来,郭公や紅葉の名所として名高い。「万葉集」巻8に鏡王女の歌として「神奈備の伊波瀬の杜の呼子鳥いたくな鳴きそわが恋まさる」(1419),志貴皇子の歌として「神名火の磐瀬の杜の霍公鳥毛無の岳に何時か来鳴かむ」(1466),刀理宣令の歌として「もののふの石瀬の杜の霍公鳥今しも鳴きぬ山の常陰に」(1470)と詠まれる。その後も「後撰和歌集」や「続後拾遺和歌集」などに詠まれた。「枕草子」第112・207段に,うへ木の森・立聞の森などと並んで岩瀬の森が見え,「栄花物語」巻9や「源氏物語」早蕨巻にも登場する。所在地については諸説があり,確定していない。「能因歌枕」や「八雲御抄」は大和と摂津をあげる。現在の生駒郡斑鳩町稲葉車瀬の竜田川東岸の森(大和志・大和名所図会・竜田考),同郡三郷町立野の大和川北岸の森(行嚢抄・竜田考弁),または飛鳥地域に比定する説などがある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7165558