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宇治間山
【うじまやま】


飛鳥期に見える山名。吉野郡のうち。「万葉集」巻1に文武天皇が吉野宮に行幸した時,長屋王の歌に「宇治間山朝風寒し旅にして衣貸すべき妹もあらなくに」(75)と詠まれる。その後も「五代集歌枕」「八雲御抄」「続千載集」「井蛙抄」などに歌われる。宇治間山は藤原京から吉野宮へ向かう途中の地名と考えられる。飛鳥から吉野宮へのコースとしては,芋峠を越えて千股へ出て,そこから左へとって月の木(吉野町佐々羅),平尾へ向かい,広峠を抜けて津風呂に達し,津風呂から山を越えて宮滝,吉野宮へ至るルートが想定されている(明日香村史中)。「大和志」は宇治間山をこのルート上の池田荘千股村(現吉野町千股)に比定する。千股は上市から芋峠越で飛鳥へ向かう道と竜在峠越で多武峰へ向かう道の分岐点に位置する。宇治間山を宇智郡経由の道中に求める説もある(万葉集私注)。「万葉集檜嬬手」に「輿通志ニ云フ,宇治間山池田荘千股村ニ在リ……吉野山内丹生ノ続也」とある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7165619