100辞書・辞典一括検索

JLogos

36

杣之内古墳群
【そまのうちこふんぐん】


天理市杣之内町を中心に分布する4~8世紀の古墳群。東から西に延びる丘陵上や,丘陵が平地と接する緩やかな傾斜地一帯に広がり,その範囲は布留川を北限として,東西約2.1km・南北約1.6km。古墳群は前方後方墳1基・前方後円墳7基・方墳4基・円墳多数で構成される。最も古い古墳はすでに消滅してしまった小半坊塚古墳である。墳丘の全長約150mの前方後円墳で,後円部中央に竪穴式石室をもっていた。4世紀後半でも早い時期のものと考えられる。続いて西山古墳が築造された。墳丘の全長約180mのわが国最大の前方後方墳である。5世紀前半には東天井山古墳と西天井山古墳の小型の円墳2基が築造された。5世紀末から6世紀初頭頃になると,西乗鞍古墳のような大型の前方後円墳が復活し,6世紀前半の小墓古墳や東乗鞍古墳・笠神山古墳へと続く。7世紀に入ると塚穴山古墳・峰塚古墳と特色ある円墳が築造された。塚穴山古墳は径63.4mあり,全長17.12mの巨大な横穴式石室をもつ。峰塚古墳は3段築成の整美な墳丘で,内部には岩屋山式の切石造りの横穴式石室がある。8世紀には杣之内火葬墓が築造されるが,これをもって古墳群の終焉を迎える。火葬墓は径約10.4mあり,中央の墓壙には一辺約60cmの木櫃を納め,その中には火葬骨とともに舶載の海獣葡萄鏡1面と釵子1行が入っていた。石上宅嗣の墳墓と推定されている。そのほか,大型古墳の周辺には小型の円墳が点在し,園原集落東方の標高175mから約250mに至る丘陵上には約80基以上の円墳群がある。これら当古墳群を構成する多数の古墳は,石上神宮を中心とする物部氏一族の墳墓である可能性が高く,彼らの生活域と考えられる布留遺跡とともに1つの遺跡群を形成している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7167728