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中峰山
【ちゅうむざん】


旧国名:大和

名張川下流左岸に位置する。式内社の神波多神社が鎮座し,古来「畑(波多)の天王さん」として東山中をはじめ伊賀地方にまで信仰され親しまれてきた。「延喜式」には臨時祭に畿内堺10か所に祀った疫神のことが見えるが,神波多神社は大和と伊賀の国境に祀られた疫神と考えられる。「延喜式」神名上では添上郡神波多神社と記されているが,天平19年の大安寺資財帳には山辺郡波多蘇麻が見えることから,奈良期・平安初期頃には大和国北東の僻地ゆえに郡界も明確でなかったことによるものと考えられる。中峰山のことを天王とも呼ぶのは,同社が牛頭天王の鎮座地であることによる。同社では中世中期頃から牛疫鎮止の祭が行われてきたといわれ,地内南端の横山には牛宮がある。神波多神社の神宮寺は善明院であるが,山号は鷲峰山(じゆぶせん)といい,中峰山の地名はそこから転じたものと考えるのが妥当であろう。神波多神社境内には正和元年に建立された石灯籠がある。また正中2年銘の五輪塔(郷墓)が残る。当村を中心として大川郷の称も生じた。
仲分山(中世)】 室町期から見える地名。
中峰山村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
中峰山(近代)】 明治22年~現在の大字名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7168052