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煙樹海岸県立自然公園
【えんじゅかいがんけんりつしぜんこうえん】


御坊(ごぼう)市・日高郡美浜町・同郡日高町にまたがる県立自然公園。昭和34年指定。面積1,636.4ha,うち特別地域1,566.8ha。昭和29年7月6日県立公園の指定を受け,同31年日高町海岸部を追加し,のち同34年県立自然公園となった。紀伊水道に臨むリアス式海岸の最南部。白崎海岸県立自然公園の南に続き,由良湾南岸から日ノ御埼・煙樹ケ浜を経て日高川河口左岸の塩屋町南塩屋(御坊市)に至る。紀北のリアス式海岸の象徴ともいえる日ノ御埼を境として,その北側の典型的沈降海岸とその南に広がる煙樹ケ浜の隆起海岸との対比が主眼となる。由良湾から日ノ御埼に至る海岸の小入江には,柏・小杭・方杭・小浦・津久野・比井・産湯・阿尾・田杭の小漁村が並ぶ。日ノ御埼は紀伊水道の南口に突出した日ノ山の先端にあり,四国蒲生田(かもだ)岬との間30km。眺望広大で,海の難所とされ,明治28年設置の灯台がある。灯台の背後には遊園地・国民宿舎がある。日ノ御埼の南の海浜には,主にカナダへの出稼ぎ移民を多出したアメリカ村と呼ばれる三尾の漁村があり,沖には海猫の生息地弁天島(蛋取島,県天然記念物)が浮かぶ。煙樹海岸は日高川河口に堆積した浜堤で幅500m・長さ5kmに及ぶ。藩が防潮のため植林,留山として保存した松原が続く。もとは和田松原といったが,画家近藤浩一路が煙樹ケ浜と名づけたという。砂礫海岸でキャンプ場などがある。公園区域は日高川河口を越えて塩屋の松原に続くが,「続風土記」によれば,河口は元和6年の大洪水で浜堤を切ったものと思われ,切戸の地名が河口に残る。塩屋町南塩屋の尾ノ崎と鰹島との間に,昭和59年35万m(^2)を埋め立て火力発電所が造られた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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