太田
【おおだ】

旧国名:紀伊

大田とも書いた。紀ノ川下流左岸，沖積層の低平地に位置する。地味肥沃で広大な耕地が展開し，地名の由来はこの地理的条件による。天正４年に土豪太田源三太夫が築いたと伝えられる太田城址がある。天正年間に根来(ねごろ)寺の勢力と連合して雑賀(さいか)党と争ったり，豊臣秀吉軍の紀州攻めに際して太田左近を主将にこれに反抗して水攻めを受けたりした太田党の本拠地であった。なお，地内南部に神畔森，または田宮と呼ばれるところがあり，応永６年の神事記によると，御種子下の祭，御穂上の祭というものがこの地で行われ，種をまきその穂で日前・国懸両神宮の神酒を造ったとされる（続風土記）。
【大田郷(古代)】　奈良期～平安期に見える郷名。
【大田郷(中世)】　鎌倉期～戦国期にみえる郷名。
【太田村(近世)】　江戸期～明治22年の村名。
【太田(近代)】　明治22年～現在の大字名。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7170743