100辞書・辞典一括検索

JLogos

18

加太港
【かだこう】


和歌山市北西部の加太湾にある地方港湾(昭和28年指定)。加太の地名は形見(潟海)に由来するといわれる。和泉山脈が紀淡海峡に没する先端に位置するため,古来淡路島・四国への渡津として栄え,大宝2年には南海道の駅家,賀太駅が設置され,淡路由良駅へ連絡する水駅的役割を果たした。近世には諸国廻船の寄航地,渡海船の根拠地の両機能を兼備し,「名所図会」は「加太浦は海路の咽喉にして諸国廻船の上下必此に汐掛りする所也,市店軒を列ね,其繁華なること大坂および堺の湊口にもおとることなく」と述べ,集積する物資を対象とした運上金徴収の目的で,藩は二分口役所を置いた。明治4年には廻船15艘,渡海船20艘が記録されている。漁業でも関東,特に房総半島への出漁は有名。明治中期までは大阪と和歌山沿岸を結ぶ定期航路や淡路航路の発着地となって乗降客も多かったが,明治36年,南海鉄道(南海電鉄)難波~和歌山市間の全通による貨客激減のため,海上交通は次第に衰微し,港町の性格は失われていった。第2次大戦中は由良要塞司令部の管轄下におかれたため港湾施設は改修できず,戦後は友ケ島へのフェリー発着以外は漁港と化している。友ケ島周辺を漁場とした沿岸漁業がほとんどで,小型漁船によるタイの一本釣りがよく知られている。港の施設は第二室戸台風で大打撃を受けたが,以後,防波堤・物揚場等の整備が図られ,さらに防波堤の延長や諸施設の充実を目的にした第4次港湾整備計画が昭和60年完成をめどに進行中である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7170973