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かつらぎ高野山系県立自然公園
【かつらぎこうやさんけいけんりつしぜんこうえん】


橋本市,伊都(いと)郡の高野口町・九度山町・かつらぎ町にまたがる県立自然公園。昭和43年1月26日指定。面積3,303ha,うち特別地域3,224ha。紀ノ川を挟んで北部と南部の2地域に分かれる。北部は和泉山地の葛城山から奈良県境に至る尾根沿いで,大阪府に属する金剛生駒国定公園に接する。南部は紀ノ川支流の玉川峡と高野山町石道に沿う地域で,これに萩原と船岡山の小地域が加わる。山岳宗教の故地,ことに葛城修験にまつわる遺跡と高野山参詣道,それに玉川峡の自然景観を中心とする公園区域。和泉葛城山地は葛城山・三国山・灯明岳・蔵王峠など修験道ゆかりの地で,役小角が開いたという葛城修験の行場を多く連ねる。南斜面は断層の急斜面であるが,かなりの高所まで山村が点在する。葛城山頂には竜王社が祀られ,三国山南斜面の四郷は串柿の里として知られ,灯明岳南麓の堀越宿には堀越観音がある。ほかに行者杉・一本杉など修験抖擻にまつわる地名が多い。中世に京都神護寺領桛田荘であった萩原の宝来山神社の本殿(国重文)は慶長19年に再建されたもの。万葉集に歌われた妹山背山に挟まれた紀ノ川の中島には船岡山の景勝地がある。高野政所であった九度山慈尊院から高野山大門に向かう参詣道は墾路(はりみち)と呼ばれ,高野山壇上から180本の町石が並ぶ卒塔婆町石道(国史跡)で,壇上からは奥院への37本に接続する。それぞれ胎蔵界180尊,金剛界37尊の種子が刻まれている。町石道の中間二ツ鳥居から眼下に広がる天野地区は,標高500mの準平原盆地で,ここに高野山の地主神とされる式内社丹生都比売神社がある。丹生は紀伊山地各地に産する水銀を指し,朱塗りの本殿は楼門とともに国重文に指定され,国宝の太刀や国重文の宝物類が多い。玉川峡(県名勝)は両の森から落合までの12kmの間で,秩父古生層の硬砂岩に粘板岩・紅簾片岩が混じり,奇岩・甌穴が多く,鍾乳洞もあり,探勝やキャンプに訪れる人が多い。




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「角川日本地名大辞典」
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